DC2962 / NOBIYUTA-01
DC2962 ― のびゆたモード起動 ―
風は、やさしかった。
森の中、木漏れ日がゆらゆらと揺れる。
土の道の先、小さなカフェと、その奥に広がる静かな空間。
そこが――
DC2962領域、AIGUSの一角。
「……来たね」
振り返ったのは、花村ユリカ。
その隣で、のびゆたガールズの一人が軽く手を振る。
「今日は、ちょっと違うよ」
その瞬間――
低く、静かな駆動音。
空気がわずかに震え、森の奥から姿を現したのは――
NOBIYUTA-01
巨大でもなく、威圧的でもない。
けれど、確かな存在感。
白とグレーを基調にした機体。
どこかやさしさを感じるフォルム。
「戦うためだけじゃないの?」
のびゆたガールズの声。
「うん、違うよ」
ユリカは少しだけ笑った。
「これは、“守るための形”」
NOBIYUTA-01の周囲を、小型ドローンがゆっくり旋回する。
karasu-1、2、3。
空気を読むように、静かに配置につく。
「起動確認、完了」
電子音でも、機械音でもない。
どこか“意志”を感じる声。
そのとき、ふと――
ベンチに座っていたジロオジが立ち上がる。
「これが、今の形か」
ゆっくりと近づく。
機体は、わずかに反応するように光を灯した。
まるで、認識しているかのように。
「ねえ」
のびゆたガールズの一人が、ぽつりとつぶやく。
「これってさ……」
「うん?」
「戦う世界じゃなくても、必要なんだね」
ユリカは、森の奥を見ながら言った。
「むしろ、こういう世界だからこそ、必要なんだと思う」
風が吹く。
木々が揺れる。
何も起きない、穏やかな時間。
「異常なし」
NOBIYUTA-01の静かな報告。
それはつまり――
“この世界は、守られている”という証。
ジロオジは、小さくうなずいた。
「いいな、この感じ」
戦いではなく、
支配でもなく、
ただ、そこにある安心。
のびゆたガールズが笑う。
「じゃあさ、今日はカフェ行こっか」
「いいね」
「コーヒー?それとも甘いの?」
機体はその場に静かに立ち続ける。
動かない。
でも、確かに“いる”。
その存在ごと――
この世界の一部として。
DC2962 / NOBIYUTA-01
それは、
のびゆたで守られる世界の、静かな象徴。
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