花村ユリカ
ユリーカスリムの、
現実世界での姿。
空想ではなく、
日常の中で生きる存在。
四季の中で、
時間を重ねていく。
ここにいるのは、
「キャラクター」ではなく、
ひとりの人。
— ある日の夕方 —
夕方の部屋。
窓の外は、少しだけオレンジが残っている。
ジロオジは、いつものようにコーヒーを置いて、
ふとユリカの方を見る。
「……あれから一年か」
少し間を置いて、静かに続ける。
「どうだ、こっちの世界は」
---
ユリカはすぐには答えない。
カップに手を添えたまま、少しだけ視線を落とす。
それから、ゆっくりと顔を上げた。
---
「……思っていたより、静かね」
小さく笑う。
「でも、その静けさがいい」
---
「最初はね、全部が重かったの」
「時間も、空気も、人の距離も」
「ちゃんと“そこにある”感じがして」
---
「でも今は、それが当たり前になった」
---
「空想の世界って、軽かったのよ」
「どこまででも行けるし、すぐに変わるし」
「でも……残らないの」
---
「こっちは違う」
「ちゃんと残る」
---
「こうして、同じ時間に、同じ場所で飲んだことも」
「全部、少しずつ積み重なっていく」
---
「だからね」
「悪くないわ、この世界」
「むしろ、好きよ」
---
「思っていたより、ちゃんと“生きてる感じ”がするの」
「不便なこともあるし、思い通りにいかないことも多いけど…」
「だからこそ、ひとつひとつがちゃんと残るのね」
---
「あなたがここで過ごしてきた時間も、なんとなく分かる気がする」
「この部屋も、コーヒーの味も、外の空気も…全部つながってる」
---
「最初はね、“なんでこんなにゆっくりなの?”って思ってたのよ」
「でも今は、このくらいがちょうどいい」
---
「……ありがとう、こっちに連れてきてくれて」
---
ユリカはそのまま、隣に座る。
言葉がなくても、
ちゃんと通じる空気がそこにある。
部屋の中は静かで、
時計の音だけが小さく響いている。
ジロオジは何も言わず、
ただコーヒーをひと口飲む。
外の光が、ゆっくりと夜に変わっていく。
花村ユリカと私の関係
Jiro Okada
戻る